こちらは東日本大震災復興支援・チャリティ小説同人誌『文芸あねもね』公式ブログです。
最新情報や執筆者&内容紹介など随時更新しています。
「女による女のためのR-18文学賞」過去受賞者(+α)で
「少しでも東日本大震災被災者の力になれれば」と話し合った結果、同人誌をつくることになりました。
2011年7月15日より2012年2月24日まで、電子書籍サイト・パブーにて電子書籍版を販売、
その後紙の書籍として新潮文庫に入る運びとなりました。
現在、朗読プロジェクト「文芸あねもねR」も進行中!
【執筆者一覧】
彩瀬まる・豊島ミホ・蛭田亜紗子・三日月拓・南綾子・宮木あや子
山内マリコ・山本文緒・柚木麻子・吉川トリコ(五十音順/敬称略)
■イラストレーション/さやか ■デザイン/山口由美子
※参加者の詳細は「プロフィール欄」をお読みください。
※この企画の成り立ちについては「はじめに」をお読みください。
大阪の丸ビルは丸いかたちをしたビルだから丸ビルで
東京のは丸の内にあるビルだから丸ビル
そんな、べつに既に知っていたことをわざわざ引っ張り出して考えながら丸の内南口を抜け、やってきました東京のほうの丸ビル。はるばる大阪から、三日月拓です。お久しぶりのブログ登場で失礼いたします。
東京のほうの丸ビルに大阪在住のわたしがどうしてやってきたのかというと、文芸あねもねの打ち上げに参加するためです。
東日本大震災
文芸あねもね(当初は名前はついていなかったにせよ)発足
そしてパブーでの電子書籍販売開始、それから文庫化(当初は予想していなかったことにせよ)
電子書籍発売から数えると約一年、7月24日、打ち上げが行われることになったのです。
だからって一年を区切りとしてというわけではとくになく、もっと前から計画はあったのですけれど、なにせ十二人の大所帯、なかなか全員のスケジュールが合わず、打ち上げをしよう! とわりに具体的に言い出してからだいぶん時間が経ってしまいました。
でもそのおかげで、お仕事でどうしても参加できなかったデザイナーの山口由美子さん(山口さんは先日、文芸あねもね文庫版のデザイン料の一部を東日本大震災の復興支援金として寄付されたそうです)を除く十一人が集まることができました。
丸ビル内某和食店個室の円卓を十一人で囲み、宴がスタートです。
食べて、飲んで、食べて、飲んで、飲んで、飲んで飲んで。その間ずっとしゃべっているわけです。
仕事の話、つまり小説の話もやっぱりします。だけどそれ以外の話のほうが多いような。
親不知を抜いた話とか、厄年の話、果ては少子化について・・・
あっというまに三時間ほど経過し、山本先生の電車の時間が迫っているということもあり、いったんお開きとなりました。
山本先生に締めのことばをいただき、写真撮影をし、お会計をし(あ、もちろん私費でです。念のため)、お店の外へ。
ビルの出口まで山本先生を見送り、まだ時間のあるメンバーだけでもういちど丸ビルへ戻り、こんどはお茶の時間です。
またずっとしゃべっているわけでして、
「そういえば三日月さん電車大丈夫?」という豊島さんの声で、わたしはやっと我にかえりました。
9時20分の新幹線(終電)に乗る予定が、時計を見るとすでに9時過ぎではありませんか。うしろのテーブルをふり返り(大人数で同時に座れる席がなかったので3つのテーブルに分かれて座っていたのです)同じ電車に乗る予定のトリコさんを見ると、わたしと同じようにアタフタと席を立っているところでした。
ものすごく名残惜しいのに、ものすごくいさぎよくみんなにさよならを言い、トリコさんと二人で走りました。エレベーターを待つ時間さえ惜しく、すんませんすんませんと呪文のように言いながら人を避け狭いエスカレーターを駆け下り、三十半ばの女ふたり、トリコさんなんてキャリーケースを担いでいて、でも東京駅構内だってダッシュで、やっと新幹線の改札にたどり着いたと思ったら電光掲示板には「伊豆・箱根行き」とかばっかりで、わたしたちが乗るのはこっちじゃないーってまた走り、なんとか、9時20分の新幹線に乗り込むことができました。
やれやれ。
それから途中の駅でトリコさんと別れ一人になり、その瞬間わたしはふと思うのです。
なんだか夢のような時間だったな、と。
大阪にいると、作家さんたちと会う機会はほとんどありません。
じぶんが文芸あねもねに参加しているのだということさえ、なんだかとても遠いというか、どこかにいるもう一人のじぶんがしていることのように感じたりするときもあります。今回のように文芸あねもねのみんなと会うことは、だからわたしにとって夢のような時間であると同時に、じぶんがあねもねに参加しているのだということを改めて思い出させてくれる機会でもあります。
東京にいると震災のことを考えることが減る、と山本先生は締めのことばの中で仰いました。大阪にいるときっともっとです。だからこうして集まることで文芸あねもねを通じて震災について考え、また、文芸あねもねとしてこのようなブログを発信することで少しでも多くの方に文芸あねもねを改めて思い出していただき、新たに知っていただき、震災を忘れることなく、被災地への支援に非常に微力ながらいまもわたしも参加させていただけているというのはとてもありがたいことに思います。
文芸あねもねがこれからも少しでも多くの方に手にとっていただけますように。
そして、参加した作家たちとイラストレーター、デザイナーの活躍をこれからも見守っていただけましたらとても幸いです。
以下、参加作家の近刊を案内させていただきます。
・ 豊島ミホ『夏が僕を抱く』(祥伝社文庫より発売中)
・ 蛭田亜紗子『星とモノサシ』(マーブルトロンより発売中)
・ 南綾子『10分間の官能小説集』(アンソロジー・講談社文庫より発売中)
・ 宮木あや子『官能と少女』(早川書房より発売中)
・ 柚木麻子『早稲女、女、男』(祥伝社より発売中)
・ 吉川トリコ『グッモーエビアン!』(新潮文庫より発売中)
・ 吉川トリコ『東京ネバーランド』(実業之日本社より発売中)
(著者名五十音順)
そして8月には!!
もうひとつとってもうれしいお知らせができるかもしれません。
楽しみにお待ちくださいませ。
(文責:三日月拓)
後列:蛭田、さやか、山内、宮木、南、柚木
前列:豊島、吉川、山本先生、彩瀬、三日月 お店にて。