こちらは東日本大震災復興支援・チャリティ小説同人誌『文芸あねもね』公式ブログです。
最新情報や執筆者&内容紹介など随時更新しています。
「女による女のためのR-18文学賞」過去受賞者(+α)で
「少しでも東日本大震災被災者の力になれれば」と話し合った結果、同人誌をつくることになりました。
2011年7月15日より2012年2月24日まで、電子書籍サイト・パブーにて電子書籍版を販売、
その後紙の書籍として新潮文庫に入る運びとなりました。
現在、朗読プロジェクト「文芸あねもねR」も進行中!
【執筆者一覧】
彩瀬まる・豊島ミホ・蛭田亜紗子・三日月拓・南綾子・宮木あや子
山内マリコ・山本文緒・柚木麻子・吉川トリコ(五十音順/敬称略)
■イラストレーション/さやか ■デザイン/山口由美子
※参加者の詳細は「プロフィール欄」をお読みください。
※この企画の成り立ちについては「はじめに」をお読みください。
さて、このたび、電子総合文芸誌「アレ!(allez!)」2号
「私が薦める私の本」という、自著の紹介をするコーナーにわたし三日月拓が記事を書かせていただきました。
薦めたのはもちろん、「文芸あねもね」です。
本の中身や、いかにお得かということ、また、チャリティへのご協力お願いも含め、熱く、大いにお薦めしてまいりました。
「アレ!」編集部のみなさまには、こうして「文芸あねもね」をとりあげていただきましたことをこころより感謝しています。
ところで「アレ!」
みなさまご存知でしょうか。
「アレ!」それは、「行け」という意味のフランス語allezを語源にし、
「元気を取り戻そう! 明日に向かっていけ!」という日本人への応援メッセージをこめて、この8月に創刊された月刊電子総合文芸誌です。
発行人は菊池夏樹氏、文藝春秋の編集者として数多くの作家を育ててこられたかたで、菊池寛氏のお孫さんでいらっしゃいます。
書き下ろしをまずデジタルで、というコンセプトのもと、掲載作品のほぼすべてが書き下ろしです。
創刊号を、先日購入してみました。
「文芸あねもね」に次ぐ、わたしの人生における電子書籍購入二冊目です。
やっぱりまずは、「帰ってきた菊池寛」。
菊池夏樹氏が選んだ菊池寛氏の短編小説が、シリーズ化して掲載されるようです。なんといってもこの雑誌のめだまですよねこれは。
今回は、「笑ひ」です。
通夜の席で、眠気や笑いをこらえることのむずかしさ。いやそもそもなぜ人は絶対寝ちゃいけない笑っちゃいけないときに眠くなり笑いがこみ上げるのか。ていうのははるか江戸時代からすでにあるこの世の困りごとだったのかと感心、その描写が可笑しくて、こちらは通夜の席ではないので遠慮なく声をあげて笑いながら読んでいたのですが・・・・・・それだけではなかったのですね。原因と結果、それらは必ずしも一本の線でまっすぐつながるわけではないという不条理を最後に見せつけられたような気がしました。
次に、ブラザー・トムさんの「happiness island から来た犬」。
東日本大震災で飼い主と離れてしまった被災犬を保護する施設から、ブラザー・トムさんが一匹の犬を預かるお話です。
深刻なお話なのでしょうけど、ブラザー・トムさんのそのひょうきんで温かみのある語り口のおかげで、ときどきぷっと吹き出したりしながら楽しく読むことができました。今回は連載一回め、ブラザー・トムさんが自宅へ犬を連れ帰るところまででした。次回は、犬との生活を拝見できるのでしょうか。
軽快に読み進むうち、やがてなにかを静かに考え始めさせてくれるような作品という予感がします。
そしてわたしはいまから、本日9月29日発売の2号を買ってきます。
前述の二つの続きも気になることですし(「帰ってきた菊池寛」は続きではなくまた別の短編)、電子書籍初登場! 曽野綾子さんの連載もスタートします。
そのほか読みきり作品もたくさん。
それにやっぱり、「文芸あねもね」の記事(書いたのはじぶんなんですけど)も載っていることですから。
わたしの人生における電子書籍購入、三冊目です。
電子書籍って、あんがいむずかしいものではないんですね。
わたしはパソコンが苦手です。ほんとーに、苦手です。
電子書籍なんて、じぶんには絶対無理だと思っていました。
それが、思い切って購入してみると・・・・・・
べつに無理ではない。わりとすんなり購入できました。
豊島ミホさんの「2011年 電子書籍プチ講座」にもあったように、めんどくさいなあ、ユーザーに優しくないなあ、っていう点はいくつかあるように思います。たしかに。
だけどなんかこういうのも、もっとみんなが買えば値段が安くなるんだけどね、と言われてる無農薬野菜みたいに、もっとみんなが使えばそのうちどんどんめんどくさくない、ユーザーに優しいものになっていくんじゃないかな、とか思ったりします。どうでしょう。たとえが突然すぎますか。
いずれにせよ、わたしはこれからもちょくちょく電子書籍を購入することでしょう。
みなさまも、秋の夜長に「アレ!」「文芸あねもね」で読書三昧はいかがですか。
そしてこれはまったくの別件、わたくしごとで申し訳ないのですが、
10月下旬に、わたし三日月拓の単行本が新潮社より発売されます。
タイトルは「きのうの家族」。
発売に先駆けまして新潮社HP shincho LIVE! 内 「新潮社の本が刊行されるまで・新人作家さんの場合」というところに取り上げていただいてます。
単行本がどのようにしてできていくのか、また、受賞から四年半(!)かかってやっと単行本出版にたどりついたわたしの心境なども紹介されています。
よろしければこちらもご覧くださいませ。
昨日発売の「yomyom vol.22」に
「幸福なスランプ」というエッセーを掲載していただいております。
新潮社さんに「宣伝協力してくんちぇ!」とお願いしたものの一貫で
このエッセーまるまる一本ぶん、宣伝に使わせていただくことができました。
本当にまるごとぜんぶ宣伝(と私の苦悩話)です。
当企画へのご賛同およびご協力まことにありがとうございました。
yomyomは半端な小説家の人にとって、非常に高い、攻め落とせない砦です。
あねもねの執筆者(山本先生以外)でこの媒体に小説を載せてもらえた人はいません。
私と南綾子は以前、「新潮文庫○○冊イッキ読み!(だいたい十冊越え)」という
肉体系お笑い芸人の罰ゲームみたいな企画で原稿を書かせてもらったことはありますが
小説の依頼をいただけたことはないですし今後もおそらく、ないです。
その理由は、目次の執筆陣を見ていただければ一目瞭然でしょう。
「文芸の新潮社」だからこそできる、新潮社でしかありえない目次です。
それだけ、新潮社文芸が全力を注いでいる雑誌ということだと思います。
中身もたぶん万人に面白いように、そして読みやすいように、作られています。
100%ORANGEさんの描くパンダも毎回ねじれるほど可愛いです。
秋の行楽のお供に、yomyomはいかがですか。
軽いし可愛いしいざとなったら枕にもなる柔かさ。
電車の中で開いていたら、ステキな文学青年が声をかけてくるかもしれません。
そしたらその出会いを小説にして新潮社の文学賞に応募すると良いです。
なお「文芸あねもね」の執筆者のうち八人が受賞→雑誌デビューしている
「女による女のためのR-18文学賞」は、今年から官能しばりがなくなりました。
官能とか恥ずかしくて書けないよーっ! というおぼこいお嬢さんでも気軽に応募できます。
僕と契約して一緒にyomyom掲載を目指そうよ!!
「僕」が誰なのかは私も判らないですが、yomyom、いつか小説で載りたいなあ。
(文責・宮木あや子)
もし、文芸あねもねがキャバクラだったら、きっとこんな感じ……。
* * * * * * * * *
柚木麻子作「文壇キャバクラあねもね物語」
俺はさるメーカーの営業部長(55)。会社の収益は激減、冷えきった夫婦生活。なにより今の日本を覆う閉塞感と先の見えない不安に、俺の心は折れる寸前だった。もう久しくうまい酒なんて飲んでない。そんなある日だった。歌舞伎町でアイツに再会したのは。
「旦那、お久しぶりですね」
抜け目なさそうな顔に見覚えがあった。
「柚木!? 伝説の銀座の黒服と呼ばれたお前が、歌舞伎町で一体何を!?」
景気の良かったころ、毎晩のように飲み歩いていた銀座の思い出が蘇る。柚木の仕切っていたいくつかの「文壇バー」。読書好きの俺にとっては憧れの店だった。
「ははは…。もう銀座に執着する時代でもないでしょう。今はこんな商売を始めましてね」
柚木がスーツのポケットから差し出した名刺に俺は釘付けになった。「文壇キャバクラあねもね」!?
「今や、文壇は手の届く場所にあるべきなんですよ。本は電子書籍でも読める。作家とはツイッターで直に話せる」
「お高くとまったクラブで、さも高尚そうに文学の話をする時代は終わりましたよ。時間があるならどうです? いい子揃えてますよ。うちはR−18…おっと良い子は見ちゃ駄目な大人なサービスが売りでずぜ」相変わらず口八丁手八丁な柚木がもはやまぶしかった。柚木に誘われ、俺は店に足を踏み入れた。
「いらっしゃーい。暑かったでしょ。ささ、中へどうぞ」
艶っぽく微笑んだ着物姿の女に俺は危うく恋に落ちそうになる。
「ママのあや子です。こう見えてざっくばらんな性格なのよ。くつろいでいって下さいね」
外見と裏腹の気さくな態度に、一気にくつろいだ。ソファ席に通されると…
「あらあら、いいスーツね。これ、オーダーメード?」
鮮やかなドレスにトップを膨らませた七十年代風の髪型のスタイリッシュな女が、オレの背広を脱がせた。
「ごめんなさいね。服というとつい気になっちゃって。私はチーママのトリコよ」
若いホステスが作ってくれた水割りの美味しさに目を見張る。
「新人のまるです。よろしくお願いします。まだまだ不慣れでお恥ずかしいんですけど」
はにかんで微笑んだ若いホステスの清純さに、心が洗われるようだ。
「水割りもいいですが、当店のおすすめは特製カクテルなんですよ」
カウンターの奥から黒猫のような印象のミステリアスな女がにこりともせず言った。
「ばばあのば……じゃなくてバーテンダーの綾子です。おすすめはウォッカベースの『夜を駆けるバージン』ですが『憧憬☆カトマンズ』もさわやかなライム味で梅雨あけにぴったりです」「この『少女病』っていうのは?」「キルシュベースの甘さが人気ですが、あとから絡みつくように酔いが回りますよ」
綾子がシェ–カーを上下する小気味良い音を楽しんでいると、トリコがすらりとしたホステスを連れて来た。
「当店NO.1のミホちゃんですよ〜」
ホステスとは思えないピュアな少女に、俺の胸は高鳴る。思わず「可愛い…」とつぶやいたら彼女は真っ赤になって下を向いた。
「私は底辺女子高生なんで」
「ヘルプの拓(ひらく)です」ぱっちりとした瞳の女が隣に腰かけた。
「拓ちゃんはこうみえて人妻でお子さんがいるのよ」とあや子。
「へえ、見えないなあ。こんなに可愛い奥さんだと旦那さんは心配だね」
「うふ。『ボート』っていうカクテルをおすすめしますわ」
拓はぞくりとする流し目を送ってきた。
煙草を取り出すと、すかさずライターを差し出したのは、神秘的な印象の美人。
「亜紗子です。源氏名は。でも、あなたには『かれん』って呼んで欲しいの」
「どうして」「今日だけは自分じゃなくなりたいの」
かなり特異な接客法に心がつかまれた。ミホは俺の煙草を見て「火が見える」とつぶやいている。
突然店内は八十年代風ディスコ音楽と色とりどりのライトでいっぱいになる。
「さあ皆さん、お待ちね、あねもね名物パーリータイム!当店のダンスクイーン山内マリコが踊ります!」
ステージ上にはマイクを握った柚木が立っていた。
「フウーッ、フウー!」
黒いチュチュ姿の美女が舞台袖から飛び出してくる。
「イエー!イエー!」日本人離れした弾けたノリに俺の心のもやもやは一瞬で晴れていく。マリコは勢いにのって「ブラックスワン」の黒鳥ダンスをカクカクと踊り出した。キャバ嬢とは思えない捨て身のギャグに俺は涙が出るまで笑い転げた。隣のテーブルで上品な女性がボトルを入れているのが見えた。
「俺もボトル入れようかな」
何だか威勢のいい気持ちになってそう言うと、あや子ママがこちらの手を握りしめてきた。「お気持ちは嬉しいわ。でも、ボトルなんていいの。あちらのテーブルの山本文緒さんはここのオーナーだから真似することなんてないの。だけど、どうしてもって言うんなら…」
「380円のこちらを購入していただきたいわ」
「チャリティか……。偉いな」俺は思わず自分を振り返った。憂うばかりで少しも行動にうつしていない。
「偉くないわ。基本はキャバ嬢。楽しんでいただくのがお仕事よ。私達やれることしかやらないの」とミホ。
「俺は確かに古い価値観にこだわり過ぎていたのかも……」
「電子書籍っていっても簡単よ。パブーにて販売だけど、特殊なソフト等は必要ないの。パソコンのブラウザやPDF形式で読むことができるわ。もちろん、iPadやiPhoneでも」とトリコ。
「大サービスよ。原稿用紙580枚分だもの」女達に取り囲まれ頭がぼうっとしてくる。ミホが潤んだ目でこちらを見上げてきた。
「私なんて164枚も書いたんだから」
アンソロジーなのに!?胸がきゅんとする。
俺はミホにとりこになるのを感じた。「買った!」
ネオンに消える男の後ろ姿を見つめ、柚木は煙草の煙を吐き出した。
「さすがミホさんっすね。ありゃいい太客(ふときゃく)になりますよ」
あや子は肩をすくめた。
「山の上ホテルの時みたいな面倒はご免よ」
「やっと見つけた私にふさわしい店ですからね、ヘマはしませんよ」
柚木はにやりと笑った。(了)
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「文壇キャバクラあねもね」是非おこし下さいませ!歌舞伎町きっての低価格、寄りすぐりの十名の女の子と美味しい作品、そして何より伝説の黒服柚木のキレ味抜群の接客を楽しみにきてください!
さてさて、「キャバクラあめもね」の名物バーテンダーこと、南綾子さんがWebマガジン幻冬舎で連載中のエッセイ「かなしい疑問」が、あさって15日、いよいよ最終回です!いや〜〜〜っっ、い〜〜〜やっ〜〜! 終わるの!? と、悲鳴をあげてしまいそうです。身内びいきではなく(注・柚木はオール讀物新人賞出身者なので、そもそも身内ではない)、私、この連載本当に楽しみにしています。もし、まだ読んでいない方がいるなら、これはもう断言しますが、ものすごい損をしていると思うので、今すぐに読んだ方がいいと思います。これがタダって……。並の女なら目を背けたくなるような男と女の真実にこれでもかこれでもか、と肉薄していく著者の姿勢は、平成版「ルンルンを買っておうちに帰ろう」! 手に汗握りつつも、核の部分にあるピュアで傷つきやすい少女性とのギャップに、読者は南綾子さんを愛さずにはいられなくなると思います。ポッチャリに関する考察には、強心臓の私さえ、かなり胸をえぐられました。(しかし、写真を拝見するかぎり、南さんはポッチャリではないです)
以上、南さんの傑作「嘘とエゴ」のヒロインがそうであったように「ポッチャリパブで働けば、私だってスレンダーなのよ!」と自分に言い聞かせ、今日もおむすびをむさぼっている柚木がお届けしました。
(文責・柚木麻子)
本日発売のBAILAのモノクロページに
「震災から半年。変わりゆく時代に――アラサー女性作家が今、考えていること」
というインタビュー小特集が掲載されています。
ここに私(宮木)の文芸あねもね関連のインタビュー記事も掲載されています。
BAILA編集部さま、二号に亘って「文芸あねもね」へのご協力、ありがとうございました。
なおインタビュー記事、私の上の欄には山崎ナオコーラさんが登場されています。
山崎さんは文芸界の震災チャリティ最大勢力「復興書店」に参加されてる作家さん。
復興書店さんは既に被災地へ多額の寄付をされているので
ご存知なかった方は是非、ネット検索してみてその活動内容をご確認ください。
サイン本を買うと、経費を抜いた売り上げ全額が寄付されるという仕組みです。
経費を抜いてもどの本も380円(文芸あねもね定価)よりは高いので、
著者のサインが入った紙の本がほしい&いっぱい寄付したい方にはおすすめです。
BAILAという雑誌の紹介も、再度しておきましょう(前回は蛭田さんが書いてます)。
バイラは「働くアラサー女子(独身)」向けのファッション雑誌です。
ファッションじゃない読み物部分も充実しており、あねもねメンバーの中にも
熱心な購読者がおります(私たちが「働く女子」なのかどうかは置いておいて)。
私も「酸いも甘いもかみわけた! 作家・宮木あや子のアラサー女子恋愛ウォッチング」
というコラム連載をさせていただいております。イラストは瀧波ユカリさんです。
この雑誌を毎月読んでいる私は個人的に、働く女子はBAILAを人生の教科書にしておけば
仕事でも恋愛でも人生でもだいたいうまくいくんじゃないだろうか、と思います。
今月の特集は「秋は普通の服+1女優アイテムでいく」、付録は保温機能付きランチトートです。
もう特集名と付録見ただけでちょっと人生うまくいった気になりませんか。
余談ですが上記のコラム連載は今月で17回目なんですが
私のPCの「バイラ原稿」フォルダには原稿ファイルが37個あります(要するにボツが20回)。
一見非常にユルイ連載っぽいわりに、実は毎回厳しい校閲が入っておりまして
ちょっとでもBAILA的でないネタ、たとえばシモネタや既婚者ネタは全面的にNGです。
おそらくほかの掲載物に関してもそれ以上に厳しいチェックが入っていることは予想に難くなく
こういう厳しさがあるからこそ「普通+1」のBAILAクオリティを保てているのだな、と思います。
MOREを卒業したいけどどこに行けば良いのか判らないお嬢さん。BAILAを買いましょう。
ただ、いつもMusicとComicのコーナーに関してだけは、
「そのセレクトで良いの…? バイラなのに……?」と首をかしげています。
世間的には優等生な女の子が、おうちの中だけでは趣味に生きてる、みたいな。
そんな優等生BAILAちゃんが見せる束の間の隙も是非楽しんでくださいね。
(文責・宮木あや子)
本日発売の「婦人公論」の「地震大国日本に生きる 第9弾」に山本文緒先生の記事
「うつ病から立ち直った私が人のために一歩を踏み出して」が掲載されております。
あねもねの各種記事を追ってくださっているかたがいらっしゃればご存知の通り
先生はご自分から、「文芸あねもね」に参加したいとおっしゃってくださいました。
どういう心境で参加してくださったのか、このブログでも簡単には判りますが
より詳細を知りたい! な山本先生ファンおよびあねもねラバーズは必読です。
たぶん上記の記事に書かれていることなので公にして良いのだと思いますが
山本先生は一時期うつ病を患ってらっしゃいました。
人の病についてあれこれ訊くことって社会人として絶対的タブーなので
あねもねの企画会議で初めてきちんとお話させていただく機会があっても
伺うことはできなかったのですが、この記事読んで「そうだったのか」と思いました。
わたくしごとですが、二十代前半のころ私(宮木)は
当時勤めていた会社の社医から「軽い覚醒剤」みたいな薬を出され、
それを飲みながら非常におかしな精神状態で仕事をしていた時期がありました。
毛は丸く抜ける、体重もどんどん減ってゆく。でも納期があるから仕事しなきゃいけない。
ある日家へ帰って鏡を見たら顔が灰色で目の周り真っ黒であまりに屍っぽかったため
このままでは会社に殺されると判断し、翌日辞表を出しました。
企業に勤めていたら、さいあく「辞める」「逃げる」という選択ができます。
しかしいちど専業で小説家になってしまうと、社会の波からほぼ隔絶されるため
ふたたび会社勤めをすることはほとんど不可能だと思います。
しかも山本先生は直木賞を取られている。文芸界が放っておくわけがない。逃げられない。
そんな中で、よくぞ立ち直ってくださった、と、この記事読んで思いました。
先日『アカペラ』を読んで、ますますその思いは強くなりました。
婦人公論さん、この時期に山本先生に取材してくださって、また
文芸あねもねについても記載していただき、ありがとうございました。
気になりましたか? そしたらどうぞ今日発売の「婦人公論」をご覧ください。
今回の特集は「読者ノンフィクション傑作選」。
小説家がこういうこと言うのも駄目だと思いますが、
「婦人公論」の読者ノンフィクション系の記事は、半端な小説より手に汗握ります。
いつも「この人に取材したい!」と思います。させてくれませんかね……。
(文責・宮木あや子)